インドがカナダ市民へのビザ発給を停止 射殺事件をめぐるトルドー氏の発言に反発

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インドがカナダ市民へのビザ発給を停止 射殺事件をめぐるトルドー氏の発言に反発

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インド政府は21日、カナダ国内の大使館と領事館における安全上の懸念を理由にカナダ市民へのビザ発給を無期限で停止しました。停止措置の対象は日本など他国に居住中のカナダ市民も含まれ、渡航者や旅行業界で混乱が続いています。
両国対立の発端は、今年6月にブリティッシュコロンビア州で発生したカナダ籍のシーク教指導者ハーディープ・シン・ニジャール氏の射殺事件にインド政府が関与していると主張したトルドー首相の発言です。トルドー氏は18日の議会で、「事件とインド政府を結びつける確信的な証拠がある」とコメント。これを受けたインド外務省は同発言を即座に否定し、「カナダ政府はインドを脅かす過激派組織“カリスタン・タイガーフォース(KTF)”の居住を容認している。我々が事件に関与しているとの憶測は、インド政府を冒涜するものだ」と激しく非難しました。この機を境に両国の関係は急速に冷え込み、互いに外交官1人を追放する事態となっています。

インド政府が危険視するシーク教とは

ヒンズー教とイスラム教をルーツとした少数派宗教で、インドにおける信仰人口は約2%にとどまります。教徒はインド北部のパンジャブ地方に多く、シーク教による独立国家“カリスタン”の樹立を求めて活動を展開。建国活動は“カリスタン運動”と呼ばれ、1980年代にはインド政府と衝突し双方に多数の死傷者を出す惨事が起こりました。その後、活動の場はシーク教徒が多いカナダやオーストラリアなど国外に移り、射殺されたニジャール氏はカナダにおけるカリスタン運動の熱心な支持者として知られています。同氏はシーク教徒に独立の是非を問う非公式の住民投票団体に所属し、カナダを含む国外で住民投票を実施。各国の投票結果を国連に提出し、カリスタンの独立を推し進める方針を示していました。
一方のインド政府は分離独立を画策するシーク教徒の要求を認めず、2020年にはニジャール氏を「信者に独立賛成を強要し、暴力的な反インド活動を扇動している」として国際テロリストに指定。今月上旬にインドで開催された20か国・地域首脳会議(G20サミット)ではインドのモディ首相がトルドー首相に対し、ニジャール氏の制圧的な思想に強い懸念を伝えていました。
また、国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も過激なカリスタン運動について、「ヒンズー教やシーク教徒の殺害、政治指導者の暗殺、爆弾の無差別な使用など多くの人権侵害に関与した」と批判しています。

カナダとインドの関係について

カナダにとってインドは貿易と安全保障で協力し合う関係だけでなく、多くの移民や留学生の出身国として親睦を深めてきました。2021年のカナダ国勢調査によるとインドをルーツに持つ市民は約140万人に上り、カナダにおける留学生のおよそ40%を占めています。一方、2021年にインドへ訪れたカナダ人観光客は8万人に上り、国別ではアメリカ、バングラデシュ、イギリスに次ぎ4位となっています。
今回の射殺事件が起きたバンクーバー近郊には、政治に一定の影響力を持つインド国外最大のシーク教コミュニティーがあるとカナダ政府は指摘。およそ77万人もの教徒が集中する同地域をかねてから注視しており、宗教活動が憎悪や暴力に転嫁しないよう警戒を強めていました。

カナダ市民へのビザ発給が停止された21日、国連総会で訪米中のトルドー首相はインド側の措置について言及。「インドは我々にとって重要な国であり、今後も互いに協力する必要がある。対抗措置を行う予定はなく、本質的に問題と向き合わなければならない」とコメント。法治主義と市民の安全は重要な国の役目であると強調し、インド政府に対し事件解明への協力を呼びかけました。

参考元:CNNBBC NEWS

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